- よく頭痛がする、ひどい時は吐き気がする
- 耳鳴りがする
- 動悸・息切れがしやすい
- 疲れやすい
- 寝付きが悪い、眠りが浅い
- 朝起きられない
- めまいや立ちくらみがする
- 便秘または下痢をしやすい、あるいは便秘と下痢を繰り返す
- 手足が冷えやすい、あるいは足は冷たいのに顔が火照ってのぼせたようになる
- いつも胃腸の調子が悪く、食欲がなかったり、胃がもたれたりすることが多い
- 暑くないのによく汗をかく
- 季節の変わり目など環境の変化で、体調を崩したりアレルギーのような症状が現れる
- 乗り物酔いをしやすい
これらの症状が思い当たる方は、自律神経失調症の可能性があります。自律神経失調症では、上記の他にもイライラしやすくなったり、不安やうつ症状など精神的、身体的に様々な症状が現れます。
自律神経というのは、意思とは関係なく刺激に反応して、体を周囲の環境に適応させるように調節している神経です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は日中など体が活発な時に働き、副交感神経は夜寝るときなど安静時に働き、お互いに逆の働きをしながら体を調節しています。
交感神経が優位に働くと、呼吸が促進される、脈拍が速くなる、血管が収縮する(骨格筋の血管は拡張します)、血圧が上がるその他体を活発に動かすのに適した状態に保ちます。反対に副交感神経が優位に働くと、呼吸は抑制される、脈拍が遅くなる、血管が拡大する、血圧が下がるその他リラックスして体を休めるのに適した状態に保ちます。
この2つの神経のバランスが、何らかの原因で崩れることによって様々な不調を生じます。例えば、血圧が上がるべき時に上がらないと、脳に血がいかず眩暈や立ちくらみを起こしたりします。また、夜になっても交感神経が優位なままだと不眠の原因になったりします。
自律神経のバランスが崩れる原因は、過度のストレス、夜型の生活などの不規則な生活、更年期障害その他人それぞれで、人によっては生まれつきバランスが悪い場合もありはっきり確定することは出来ません。
自律神経失調症の1つ1つの症状は、普通の内科の検査では異常が見られないことがほとんどです。上記の症状から自律神経失調症の疑いがある場合、心療内科を受診されることをおすすめします。ただし、心療内科では薬物治療がメインになりますので、薬をあまり飲みたくない方や妊娠中の方などは、鍼灸治療の方が良いと思います。
鍼治療では、鍼の刺激に対する自律神経の反射作用によって、それら様々な症状の改善を図ります。鍼刺激によって組織が損傷を受けると、感覚受容器が興奮し様々な神経伝達物質を放出し、血管拡張などが生じます。また受容器の興奮が中枢神経系に伝わることによって、鎮痛効果を生じます。
また、自律神経は内臓の運動にも関わっており、鍼刺激により交感神経または副交感神経が興奮することにより、胃や膀胱などの運動が亢進や抑制をされます。
東洋医学でみる自律神経失調症
東洋医学には、自律神経失調症という病気はありません。なぜなら、自律神経がないからです。自律神経どころか、そもそも神経というものがありません。
ですが、自律神経失調症による症状の多くは、鍼灸の対応疾患としてよく上げられるものばかりです。それは、東洋医学が未病を治す医学だからです。検査の数値で病気の判断をする西洋医学と違って、東洋医学は現れた症状からみていくので、軽い頭痛やちょっとした眩暈、のぼせ、冷え、むくみなど数値以下であったり、数値では表せない症状であっても体が感じた異常は病気として治療していきます。
東洋医学に自律神経はありませんが、自律神経の交感神経、副交感神経のバランスは、東洋医学の陰陽のバランスのようなものです。活動的な交感神経は陽で、落ち着いた副交感神経は陰、どちらが活発になり過ぎても、あるいは働きが弱くなってもバランスが崩れて、人の体には異常が現れます。
鍼灸にとって、陰陽のバランスを整えるのは治療の基本ですから、自律神経失調症からくる症状に鍼灸の対応疾患が多いのは当然かもしれません。
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