五十肩(肩関節周囲炎)の治療に鍼灸 川崎市(溝の口)杏の樹鍼灸治療院

肩の関節は非常に可動範囲の広い関節で、肩甲骨、鎖骨、上腕骨の3つの骨とそれを支える複数の筋肉や腱で構成されています。肩甲骨の受け皿に上腕骨の骨頭がはまり、それを覆う周りの筋肉や腱が様々な方向への動きを可能にしています。しかし、動きの自由度が高い分安定性に欠け、それを支えるための筋肉の負担が大きいため酷使すると損傷しやすくなっています。


加齢に伴って現れる肩関節の痛みや、拘縮を五十肩といいます。五十肩は、40~60代に発症する肩関節周囲の筋肉や腱の炎症の俗称で、腱板炎、石灰沈着性腱板炎、肩峰下滑液胞炎、腱板損傷、上腕二頭筋長頭腱炎などの疾患を含みます。

五十肩の症状の現れ方や痛みの強さ、期間などは様々です。また、急性期と慢性期がありその時期によって痛みの方や運動制限の性質が違いがあります。

五十肩と同様の症状は、打撲や捻挫、過度の負荷による怪我によっても引き起こされます。五十肩を含めたこの様な症状の総称を、肩関節周囲炎といいます。

 

  •  疼痛性痙縮期(急性期)
    炎症が強いため、不意の動作で激痛が走ったり、しつこい痛みや夜間痛がある。関節の癒着はまだなく、運動制限は強い痛みによりに生じる。

 

  •  筋性拘縮期(慢性期)                                              急性期が進行した状態で、自発痛はほとんどなく関節に癒着による拘縮があり、運動制限が生じる。

五十肩の痛みは、数か月~1年程度で自然に消失することもありますが、そのまま放置しておくと関節が拘縮して運動制限を生じます。これを防ぐためには、なるべく早い時期からリハビリを開始することが重要になってきます。急性期では、炎症が強いため痛みも強いですが、組織の癒着を防ぐために1日数回ゆっくりで良いので、関節の最大可動域までしっかり動かすようにしましょう。


東洋医学では五十肩等の肩関節周囲炎は、風、寒、湿の邪気またはけが等によって経絡の流れが阻害されて起きるとされています。

邪気の侵入による痛みの場合、どの邪気が強いかによって痛み方が違います。
風邪が強いと、風を嫌う肝が傷みます。肝は筋と関係が深い臓器なので、肝が傷むと筋が傷つきます。そのため、首・肩・背中から手まで肩の運動に関わる筋肉がある場所が痛みます。
寒邪が強いと、寒を嫌う腎が傷みます。腎は骨と関係が深い臓器なので、腎が傷むと骨が傷つきます。そのため痛みの部位は深く、激しく痛みますが温めると少し楽になります。
湿邪が強いと、湿を嫌う脾が傷みます。脾は肌肉と関係が深い臓器なので、脾が傷むと肉が傷つきます。湿の性質として同じ箇所がしつこく痛み、時として触れるだけでも痛む場合があります。

治療は、主に肩周りや腕のツボを使いますが、鍼の治療法に”遠道刺”といって「上の病には下に取る」という方法があり、足のツボを使うこともあります。