肩こりとは、自覚的に頸部、肩甲上部、肩甲部、肩甲間部に不快感(こわばった感じ、はった感じ、重だるい感じ等)、自発痛、軽い運動痛があり、他覚的にはこれらの部位の筋を触診すると、異常に緊張し、特定の部位に圧痛ないし凝りを生じている状態をいいます。
肩こりは原因がはっきり分かっているわけではありませんが、身体的、心理的・精神的、習癖的、職業的、環境的、習慣的など様々な因子がいくつか合わさって起こっています。ほかに症候性肩こりといって、病気の兆候として現れる場合もあるので、凝りの現れる場所や凝りに伴って現れる他の症状によっては注意が必要です。
肩こりを起こす様々な因子
身体的因子
- 頸や肩の筋肉の未発達とこれによるなで肩等
- 自律神経の失調
- ストレートネック
- 性別 (男性:42% 女性:62%)
筋肉の未発達や女性ホルモン、生理などの関係で男性より女性の方が割合が多い。 - 年齢(20~40代がピークで、70歳以上では少なくなる。)
心理的・精神的因子
- 繊細、過敏、性格的に緊張しやすい
- 几帳面・完璧主義
- 依存的
習癖因子
- 不良姿勢 (前屈み、猫背)
- 筆圧が強い
職業的因子
- 上肢等の反復動作の多い作業
- PC仕事等:手指、手、前腕を早く動かす作業
機械組み立て等:上肢の挙上位保持と反復動作の多い作業
冷凍魚の解体等:筋力を要する作業など - 塗装等:上肢等を上げた状態で行う作業
- 運転手、精密作業、検査作業、机仕事:頸部・肩の動きが少ない作業
- 介護等:上肢等の特定部位に負担のかかる作業
環境的因子
- 採光、照明
- 温度(冷房等の室温、寒冷)
- 作業台、机・椅子等
- 就業時間、休憩時間
- 騒音
- 天候、気圧
- 衣服
習慣的因子
- 運動不足
- 栄養の過剰と偏り
- 睡眠
肩こりの解消には、体操やストレッチ、入浴、マッサージなどによって血行を改善させることが薦められますが、中には全く改善しなかったり悪化する場合があります。その場合は、他の病気が潜んでいることがあります。
肩こりに潜む病気
- 整形外科系:脊柱疾患、肩関節疾患、胸郭出口症候群
- 内科系:心肺疾患、消化器疾患、内分泌疾患等
- 眼科系:眼精疲労、近視、乱視等
- 耳鼻科系:内耳・中耳・外耳疾患、扁桃炎等
- 脳神経系:頭痛、延髄、頸髄疾患等
- 婦人科系:更年期障害等
- 歯科系:咬合不全、顎関節症等
様々な領域の病気が潜んでいますが、心肺系では心筋梗塞、肺癌のパンコースト腫瘍等重篤な疾患の可能性もありますので、心当たりのある方は早急に病院で受診しましょう。
症候性の肩こりでも重篤でないものには、鍼灸が有効な場合があります。
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