生理は、期間が4~7日間位、周期は通常28日とされていますが、個人差や体調によっても前後することがあるため25~35日位であれば正常の範囲とされています。生理不順は、この周期や経量が正常の範囲を超えている場合や、不規則で一定しない状態です。
生理不順には、月経周期が短い“頻発月経”と長い“稀発月経”、経血量が多い“過多月経”と少ない“過少月経”があります。
頻発月経
月経周期が短く、月に2回ある場合もあります。排卵がある場合と無い場合がありますが、いずれもホルモンの分泌や血液の循環が悪いことが原因として考えられます。
稀発月経
月経周期が長く、年に9回以下。周期が長くても定期的にあって、毎回排卵があれば問題ありませんが、年に3~4回程度の場合は卵巣や下垂体の機能不全の可能性もあります。
過多月経
経血量が多く、8日以上あります。子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症などの可能性もありますので、注意が必要です。
過少月経
経血量が少なく、1~2日で終わります。子宮の発育不全やホルモンの分泌異常、無排卵などの原因が考えられます。また、閉経期の人も徐々に少なくなってきます。下腹部痛があるときは、子宮外妊娠の可能性もありますので、注意が必要です。
生理不順には、ホルモンの分泌異常と自律神経の失調が影響しています。ホルモンの分泌異常や自律神経の失調が起きる原因としては、ストレスや食生活の乱れ、冷え、疲労などが考えられます。これらは、食生活や生活習慣を改善することである程度予防することができますが、他に病気が原因となっている場合があります。
原因になると考えられる病気は、子宮筋腫などの子宮の病気の他に卵巣の病気として、卵巣嚢腫、充実性脳腫、卵巣炎、卵管炎、卵巣がんなどが考えられます。いずれも放置しておくと危険であり、不妊の原因にもなってきますので気を付けましょう。
東洋医学でみる生理不順のタイプ
経早(生理周期が短い)
実熱:元々熱を発しやすい体質(現代医学的にいう発熱とは違います)のところ に、辛いものの食べ過ぎなどによって熱が発生し経血に熱感を生じ、血の流 れが過剰になり正常でない部分に行ってしまうことにより起こります。血の 量は多く、持続日数が長い。血の性状は粘椆で、色は深紅。
鬱熱:ストレスや緊張、イライラなどにより発生した熱が子宮に溜まり、血の流れ が過剰になり正常でない部分に行ってしまうことにより起こります。血の量 はまちまちで、性状は粘椆、色は深紅。
陰虚:慢性疾患や性交の過多により、体の熱を抑える水分が不足し体内の熱が高ま り血の流れが過剰になり正常でない部分に行ってしまうことにより起こりま す。血の量は少なく、持続日数が短い。血の色は紅。
気虚:過労や食事の不摂生などにより、気を損傷したために血を正常な部分に留め ることが出来なくなり起こります。血の量は多く、色が淡くて稀薄である。
経遅(生理周期が長い)
寒邪:長い時間冷所にいたり、雨に濡れたり、冷たいものを飲食し過ぎたことによ り冷えが侵入し、血の流れが滞ったために起こります。血の量は少なく、血 塊が混じり、色は暗赤色。強い月経痛を伴う。
虚寒:慢性疾患や性交の過多により、体を温める気を損傷して体が冷え、血の流れ が滞ったために起こります。血の量は少なく、黒っぽい色をしている。月経 終了後に下腹部への鈍痛を感じる。
肝鬱:ストレスや緊張、イライラなどにより気血の流れが滞り、子宮の血流が悪く なったことにより起こります。血の量は少なく、月経の前や前半に下腹部へ の痛みがある。
血虚:過労や飲食の不摂生などにより、血を生成出来なくなったために血が不足し て起こります。血の量は少なく、色が淡い。月経終了後に下腹部が痛む。
経乱(生理周期が一定しない)
肝鬱:肝は疏泄を主ります。疏泄とは、気血が滞ることなくスムーズに流れるよう にすることです。肝はストレスや緊張が続くと傷つきやすく、肝が傷つくと 疏泄機能に異常が生じます。疏泄が過剰になると月経周期が短くなり、疏泄 が衰えれば月経周期は長くなります。血の量はまちまちで、多いとき少ない ときがある。色や性状は正常。
腎虚:腎は封蔵を主ります。封蔵とは大事にしまっておくことで、生命の根本であ る先天の精を腎が大事にしまっています。慢性疾患、性交の過多や何度も出 産をすることで腎の封蔵機能が衰え、妊娠に係る経絡である衝脈、任脈が損 傷されます。衝脈、任脈が損傷すると血を貯めておくことが出来なくなりま す。また、封蔵機能が衰えることで先天の精をしまっておくことが出来なく なり、精気が不足し子宮を栄養出来なくなることで不規則月経が起こりま す。血の量は少なく、性状は稀薄、色は淡い。
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