ALSは、脳と脊髄の運動に関わる神経が変性して筋肉が萎縮し、動かすことが出来なくなる病気です。原因は、今のところ不明で治療法もまだ見つかっていません。この病気は進行性で、筋の萎縮が呼吸筋におよぶと自分で呼吸をすることが出来なくなり、人工呼吸器をつけなくてはならなくなる難病です。
ALSには、先に手足に症状が出るタイプと口に症状が出るタイプがあります。手足に症状が出ると、歩くことや衣服を着替えたりなどの日常動作ができなくなります。口に症状が出ると、喋ったりものを飲み込んだりといった動作ができなくなります。
鍼灸では、よく経絡という言葉を使いますが、この経絡というのは経脈、経別、絡脈、経筋などをまとめて経絡と呼びます。これらは、それぞれ身体の深いところを通るもの、浅いところをとおるもの、それらをつなぐものなどがあり、深いところでは内臓とつながり浅いところでは皮膚や筋肉とつながっています。
ALSは筋肉の病気ではありませんが、鍼灸治療ではまず筋の萎縮進まないように筋脈の栄養を補いながら、内臓とつながる経脈を使って神経の変性が進まないように働きかけます。東洋医学には、神経というものの存在は考えられていませんが、骨の中にあって骨を栄養しているものとして髄というものがあり、脳も髄と考えられていて髄海とよばれています。しかし、身体を動かしているのは、あくまで気血なので全身の気血の流れを改善し、それに髄に対する治療を加えながら治療していきます。
鍼灸治療の効果としては、完全治癒というのは正直難しいですが、手足に症状が出るタイプより口に症状が出るタイプの方に進行が遅れる効果が見られますが、治療の効果は個人差や治療の頻度によっても違いがあり、同じ患者さんでも日によって良かった日とあまり効果が感じられなかった日があります。
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