歯痛(非定型歯痛)の治療に鍼灸 川崎市(溝の口)杏の樹鍼灸治療院

歯の痛みで歯医者さんに行ったが、虫歯はなく検査をしても原因がわからない。このような歯の痛みを、非定型歯痛といいます。

歯と周囲の顎等の顔面部に痛みを感じるが、その痛みは三叉神経痛の様な発作性の激痛ではなく、持続性の疼痛で痛みの程度はじんわりとした鈍痛から灼熱痛のような激しい痛みを感じることもある。痛みは複数の領域にまたがることが多いが、移動性で神経支配を超えて拡大する。また、痛みには日内変動があり、日常生活の感情の変化による刺激や触圧刺激、温冷刺激などによっても増減がある。

非定型歯痛では、原因が分からないため意味のない抜歯を繰り返したり神経の治療を行っていることが多いようです。そのため原因として、歯から脳への痛みの神経伝達が混乱してしまっているために起こっているという説があります。つまり、痛みは身体的な痛みではなく脳内で起こっているという説です。他に、ストレスや感情の変化によって痛みが増悪することもあるため、ストレスによるという説もあります。

東洋医学で歯痛は、熱による痛みとして熱が生じる原因別に、いくつかに分類されています。熱といっても西洋医学でいう風邪などによる発熱の熱ではなく、炎症のように熱を持った状態の熱です。
熱の原因としては、甘いものや辛いものなどの食べ過ぎによるもの、風邪を引いた際に生じた熱が歯に通じる経絡に侵入したことによるもの、老化や病気の長患いのために身体の熱を調節する力が弱ったことによるものなどがあります。


甘いものやアルコール、その他糖質のものを摂りすぎると、身体の水分に熱が溜まり、”湿熱”が生じます。湿熱は、むくみやアトピーなどの皮膚炎の原因にもなります。逆に辛いものを摂りすぎと、乾いた熱”燥熱”が生じます。燥熱が生じると身体の水分が失われるので、便秘の原因になったりもします。


東洋医学では、心臓の熱と腎臓の水分がバランスをとりながら体温を調節していると考えられています。年を取ったり病気をしたりして体力が弱るということは、体力の源の腎が弱るということです。腎の力が弱ると、心の熱を抑えることが出来なくなり身体に熱が生じます。こういう熱が身体にあるときは、顔や掌、足の裏などが熱く感じ赤みを帯びたりします。
また東洋医学では、歯は骨の余りであるとしています。腎は骨を主る臓器といわれており、腎が弱ると歯も弱くなり異常が生じることがあります。

甘いもの、辛いものの摂り過ぎや、風邪による熱の場合灸に痛みだし痛みは強めです。熱いものや冷たいものを食べたり飲んだりしたときに、痛みが増したり軽くなったりします。老化による痛みの場合は、痛みはそれほど強くありませんが、慢性的に痛みが出たり消えたりします。

鍼で治療する場合、上の歯が痛む場合は「足の陽明胃経」、下の歯が痛む場合は「手の陽明大腸経」という経絡を中心に治療していきます。それは、口の周囲をこれらの経絡が通っているからで、歯痛ではこれらの経絡に侵入した熱が原因となって痛みを生じていると考えられています。鍼灸では、これらの経絡経穴をつかって痛みを抑えていきます。ただし、痛みが虫歯によるものである場合は、痛みの抑制は一時的なものなので、歯科医にて正式な治療が必要です。