甲状腺は気管の前面、喉の少し下の方にある内分泌系の臓器です。正常な状態であれば、ほとんど触知出来ませんが、甲状腺機能亢進症など甲状腺に異常がある場合、大きく腫れるため触知することが出来ます。甲状腺からは、甲状腺ホルモンという代謝を促進させるホルモンが分泌されています。
甲状腺機能亢進症は、この甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり代謝が亢進することによって様々な症状を引き起こす病気です。原因は、自己免疫の異常によって甲状腺にある甲状腺の分泌を促すホルモンの受容体に対する抗体が出来てしまい、その抗体の刺激によって甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって起こります。
甲状腺の機能が亢進する代表的な病気としてバセドー病がありますが、そのほかに亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、機能性甲状腺腫瘍(ブランマー病)があります。
甲状腺機能亢進症の主な症状としては、代謝が亢進しているため食欲が亢進しますが、いくら食べても痩せてしまいます(逆に太る場合があります)。また、代謝が亢進している状態というのは、常に体が活発な状態で興奮状態でもありますから、疲れやすい、動悸がする、汗をかきやすい、眠れない、精神的に不安定で、イライラしたり興奮したりしやすいなどの症状が見られます。
他に、手指のふるえや微熱、女性では生理がなかなか来ないなどの症状や、バセドー病では外見的な特徴として眼球突出といって眼球が大きく前にとび出しっているような状態になることがあります。
手足のふるえは、「周期性四肢麻痺」といって周期的あるいは発作的に四肢、つまり手足(体幹の場合もあります)の筋肉が麻痺して力が入らなくなる症状です。症状は一旦始まると、30分から長い時は数日間続くこともあります。
筋肉が活動するにはカリウムが必要ですが、この症状は低カリウムの状態のときに起きることが比較的多いので、普段からカリウムを含む食物を摂るようにすることも対策の一つです。
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