多汗症は、特別な理由もなく大量の汗をかく病気です。手のひら、足の裏、わきの下、額などから汗をかき、緊張するとさらに大量の汗をかきます。
汗を出す汗腺には、全身に分布する“エクリン汗腺”とわきの下や外耳道、外陰部、肛門などに分布する“アポクリン汗腺”とがあります。エクリン汗腺から出る汗が、サラサラとした水のような汗なのにたいしアポクリン汗腺から出る汗は、皮脂やたんぱく質などを含むベタベタした汗で、腋臭の原因となります。
多汗症で出る汗は、エクリン汗腺からのものなので多汗症と腋臭は違う症状です。
多汗症のはっきりした原因は分かっていませんが、自律神経の交
感神経の異常ではないかといわれています。
発汗には、体温調節のための“温熱性発汗”と緊張したときなどに出る“精神性発汗”がありますが、多汗症はこのうちの“精神性発汗”の異常をいいます。精神性発汗の異常によるものではありますが、精神的な病気ではなく交感神経の反応が強すぎることが影響しています。
多汗症の中には、何らかの病気が原因となって起こるものがあります。多汗症を引き起こす病気としては、「甲状腺機能亢進症」や「更年期障害」などがあります。
東洋医学では、汗の孔の開閉の調節は“衛気“という気によって行われているとされてい
ます。衛気は、体の浅いところを巡っていて、外邪から体を護る免疫のような役目をした
り、皮膚を潤したり、臓腑を温めたりしています。そのため、衛気の力が弱ってくると汗
の調節が出来なくなり、発汗の異常を生じたりします。
東洋医学では、汗をかきやすい、あるいは何もしなくても汗をかいてしまうことを”自汗”といいますが、このとき身体は”気虚”という状態になっている場合が多いです。
気虚というのは、気の機能が衰弱して、臓腑機能や抵抗力が低下し活力が無い状態です。気虚になる原因には、生まれつき身体が弱い虚弱体質である、病気や老化などによる体力の低下、偏食やダイエットのし過ぎなどによる栄養不足などがあります。
気虚では、臓腑機能の低下によって水分代謝機能も低下するため、自汗とは逆に水分を排出できずにむくみやすくなる場合もあります。
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