高血圧の治療に鍼灸 川崎市(溝の口)杏の樹鍼灸治療院

血液が、血管の中を通るときに血管にかかる圧力を血圧といいますが、この血圧が正常値の範囲を超えて高い状態を高血圧といいます。

心臓は、ポンプのように収縮したり拡張したりしながら、毎分60~70回くらい血液を血管に押し出しています。心臓が収縮したときに血液を送り出すので、このときに血管にかかる圧力が最も強くなります。そして、心臓が収縮から戻ろうとするときが拡張期で、このときにかかる圧力が最も弱くなります。これらをそれぞれ収縮期血圧、拡張期血圧といい、血圧を測った時に上がいくつ、下がいくつというのは、収縮期血圧の値と拡張期血圧の値のことをいいます。

血圧の基準は、WHO(世界保健機関)などで定められていますが、日本では日本高血圧学会によって、日本人向けの高血圧治療ガイドラインの分類が行われています。そのガイドラインでは、診察室で測定した場合、収縮期血圧が140以上、拡張期血圧が90以上を高血圧としています。また家庭で測定した場合は、収縮期血圧が135以上、拡張期血圧が85以上を高血圧としています。これは、病院で血圧を測ると緊張してしまい、本来の血圧より高く出てしまう人がいるため、自宅でリラックスしているときに測る血圧と分けて基準値を設けているのです。ただし、血圧は年齢によっても目標値が異なっており、高齢者はやや高めに設定されています。

高血圧には、原因となる疾患がなく原因がはっきりしない「本態性高血圧」と、原因となる疾患がありそれに伴って現れる「二次性高血圧」とがあり、日本では9割以上が本態性高血圧です。
本態性高血圧では、はっきりした原因は不明ですが、高血圧になりやすくする危険因子というのはあります。血圧は、心臓が送り出す血液の量と、血管の弾力で決まってきますので、このどちらかの異常が血圧に影響を与えます。遺伝による先天的な体質も要因として挙げられますが、心臓の鼓動は自律神経によって調節されていますから、ストレス、喫煙、飲酒、食生活を含めた生活習慣、運動不足、加齢による血管の老化なども挙げられます。

基本的な自覚症状がなく、原因となる疾患もない本態性高血圧ですが、逆に高血圧が原因となって恐ろしい病気を引き起こす危険があります。
先ほども説明したように、血圧は心臓と血管が関わっていますから、血圧が高くなるとこの二つに大きな負担がかかってきます。常に高い圧力で血液を送り出し続けている心臓は、筋肉が肥大してきます。その結果、左室肥大、左心不全へとなっていきます。
そして、血管は高い圧力に耐えるために血管壁を厚くします。高い圧力で血液が流れ続ける血管壁は傷つきやすく、傷ついた血管壁には脂質が沈着しやすくなります。こうして動脈硬化を起こし、どちらも血管を狭くしますから、結果的に高血圧がさらに進みます。
血管壁が傷つくと、皮膚がけがをしたときにカサブタができるのと同じような作用がはたらきます。このカサブタが、血栓という血の塊となって血管内を流れ、心臓の血管を詰まらせると狭心症や心筋梗塞に、脳の血管を詰まらせると脳梗塞に、腎臓の血管を詰まらせると腎硬化症から腎不全へと生命に危険を及ぼす病気を引き起こします。

以上の様に、高血圧は自覚症状がないからと放置しておくと、様々な危険な病気を引き起こす原因となってきますから早期の治療をお薦めします。高血圧の改善には、薬による治療にしろ鍼灸による治療にしろ、治療以外に食生活や日常生活の改善が必要です。